185系の歴史

 

 

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185系回送列車 東京駅にて筆者撮影

この車両はJRがまだ国鉄だった1981年に運用開始された、直流特急用車両である。当時伊豆方面に向かう優等列車は急行「伊豆」が153系電車によって運転されていた。

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153系 急行「伊豆」(写真はWikipediaより引用)

しかし、老朽化や塩害による劣化が進んだため、置き換えの必要が出てきた。当時東海道線の通勤・通学による混雑は激しさを増しており通勤向け車両と急行向け車両両方を兼ねることができる車両が必要となり設計されたのがこの185系である。当初は特急への使用は想定されておらず、デッキすらつかない予定だったが、生産前に特急への使用を見越し居住性を向上させるためにデッキ付き転換クロスシート車両としてデビューした。

 1981年に急行「伊豆」と特急「踊り子」、加えて東海道線の普通電車として運転を開始、翌年には高崎線の急行「あかぎ」、「草津」などの優等列車と普通電車でも165系を置き換える目的で運用がスタートした。また、この年に東北新幹線大宮ー盛岡間、上越新幹線大宮―新潟間が開通し、大宮ー上野を結ぶ「新幹線リレー号」としても使われた。1985年に新幹線の大宮ー上野間が開通すると「新幹線リレー号」は運転を終了し、東北・高崎線の特急のうち首都圏近郊を走るものは新特急と名を改め、185系がその運用についた。(新特急「草津」「谷川」「あかぎ」「なすの」)

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185系新特急色(Wikipediaより引用)


1986年にラッシュ時間帯の着席通勤を目的とする「湘南ライナー」(2021春改正より特急「湘南」となる)が運転開始し、普通列車としての運用は減少した。分割民営化後は高崎ー長野間の快速「信州リレー号」やホリデー快速、上野ー軽井沢間の特急「そよかぜ」、臨時特急「かいじ」の一部列車やスキー客向けの臨時列車シュプール号など、様々な役割をこなすようになった。1995年からリニューアル工事が実施され、今までの転換クロスシートにリクライニング機能が追加された(今までは、リクライニングができず、遜色特急などと言われていた)

 1996年からは最近まで走っていた臨時特急「はまかいじ」に充当され、2013年からは夜行快速「ムーンライトながら」(本日1/22にJRで公式に廃止が言い渡された)にも充当されている。(ここ1年ほど臨時列車としての設定もない)2014年のダイヤ改正では、高崎線の特急「あかぎ」や「草津」などが651系1000番台(タキシードボディのスゴイ奴)に置き換えられ、廃車が始まったほか、徐々に減らされていた普通列車としての運用も最後まで残っていた伊東線からもなくなり、185系普通列車は消滅した。昨年より、元中央線系統の特急車両E257系の転属により廃車が進行、定期列車としての運転は2021年の春改正をもってなくなる予定である。これによりJR東日本の特急はすべてJR化後に製造された特急に統一される。

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185系新宿駅にて

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185系を置き換える257系東京駅にて